歩くたびに「ギシッ」「ミシミシ」と床が鳴ると、気になって落ち着かないものです。「家が傷んでいるのでは」「このまま放置して大丈夫だろうか」と、不安になる人も多いでしょう。
フローリングのきしみ(床鳴り)は、季節による湿度の変化といった心配のいらない原因から、床下の劣化や施工の不具合といった点検が必要な原因まで、さまざまです。この記事では、フローリングがきしむ主な原因、放置した場合のリスク、自分でできる確認方法、そして業者に依頼する判断基準や、新築の保証の考え方までを解説します。
フローリングがきしむ原因は?

湿気や乾燥による木材・床材の収縮や膨張
フローリングや下地に使われている木材は、空気中の湿気を吸ったり吐いたりして、わずかに膨らんだり縮んだりします。梅雨や夏の湿度が高い時期、冬の乾燥した時期には、材料が動いて、床材どうしや、床材と下地がこすれ合い、きしみ音が出ることがあります。
特に、床暖房を使い始めたときや、新築・リフォームから間もない時期は、木材が乾燥して縮む影響で、音が出やすくなるといわれています。季節が変わると音が出たり消えたりする場合は、こうした湿度の影響が考えられます。
根太・大引き・下地の劣化や施工不良で隙間ができる
床は、フローリングの下に、下地の合板、根太(ねだ)、大引き(おおびき)、床束(ゆかづか)といった部材が組み合わさって支えられています。これらを固定している釘やビスが緩んだり、部材が痩せたり、わずかに隙間ができたりすると、歩くたびに部材どうしが擦れて、きしみ音が出ます。
また、床材の固定が不十分だった、下地が平らでなかったなど、施工の不具合が原因になっていることもあります。経年劣化で、少しずつ症状が進むケースもあります。
シロアリやカビ、合板の浮きなど床下の不具合
床下の湿気がこもっていると、カビや木材の腐れ、シロアリの被害につながることがあります。木材が傷むと、床を支える力が落ちて、きしみや沈みの原因になります。
また、水漏れや湿気によって下地の合板が膨れたり、床材の接着がはがれて浮いたりすると、歩いたときにふかふかとした感触や、きしみ音が出ます。このような場合は、音だけでなく、建物の傷みにつながっている可能性があるため、早めの確認が大切です。
床のきしみを放置するとどうなる?

きしみ音や沈みが悪化し、暮らしに影響する可能性
季節の湿度による軽い音であれば、すぐに困ることは少ないかもしれません。しかし、原因が緩みや劣化であれば、放置すると、音が大きくなったり、範囲が広がったりすることがあります。さらに症状が進むと、床が沈む、床材が割れる、足を取られるといった、暮らしの安全に関わる状態になるおそれもあります。
建物の構造や床下の被害が進むケースもある
床下の湿気やシロアリ、腐れが原因の場合、放置するほど被害が広がります。床材の下で、柱や土台、根太といった、建物を支える部分にまで傷みが及ぶと、修理の範囲が大きくなり、費用も増えやすくなります。早めに原因を見つければ、小さな補修で済む可能性も高くなります。
季節による音か、修理が必要な症状かを判断する目安
「様子を見てもよい音」と「点検をおすすめする音」の目安は、次のとおりです。
| 様子を見てもよいことが多い | 点検をおすすめする |
|---|---|
| 梅雨や冬など、季節によって出たり消えたりする | 季節に関係なく、ずっと鳴っている |
| 特定の1か所だけが鳴る | 鳴る範囲が少しずつ広がっている |
| 踏んでも、床が沈まない | 床が沈む、ふかふかする、傾いている |
| 床や周囲に、異変が見られない | カビ臭さ、シミ、床材の浮き、変色がある |
季節による音が疑われるときは、加湿器や除湿機、換気を使って、部屋の湿度が極端に乾燥したり、多湿になったりしないよう調整しながら、様子を見てみましょう。
床のきしみ音の原因をチェックする方法

音が鳴る位置・箇所・範囲を歩いて確認する
まずは、どこが鳴るのかを確認しましょう。部屋の中をゆっくり歩き、鳴る場所に印をつけておきます。次のような点を意識すると、原因の見当がつきやすくなります。
- 鳴る場所は、1か所か、複数か。範囲は広がっていないか
- 体重のかけ方(つま先、かかと)で音が変わるか
- 朝と夜、季節、天候によって音が変わるか
- 壁際や、廊下、階段の近くなど、場所に偏りがあるか
記録しておくと、業者に相談するときにも役立ちます。
継ぎ目や床材の浮き、変形、沈みを目視でチェック
次に、床の表面を見てみましょう。フローリングの継ぎ目に隙間ができていないか、床材の端が浮いていないか、反りや膨らみがないか、変色やシミがないかを確認します。
また、鳴る場所を踏んだとき、床がたわんで沈むような感触があるかも確かめましょう。沈みやふかふかした感触があるときは、下地や床下に問題がある可能性が高くなります。床下点検口がある住まいでも、床下に入っての確認は、危険を伴うため、無理をせず、専門業者に任せるのが安心です。
二階の床がきしむ場合やアパート・マンションでの注意点
二階の床がきしむ場合は、床を支える梁や根太といった部材が関係していることがあります。二階の床下は、一階の天井裏にあたるため、自分で確認するのは難しく、専門業者に調べてもらうことをおすすめします。
マンションやアパートでは、注意が必要です。床の構造が、戸建てとは異なり、床を支える脚や緩衝材などが関係している場合があります。また、床や、床下の躯体(コンクリートなど)の多くは、共用部分や管理組合の管理にあたることがあります。
- 管理規約で、床の工事や、使える床材が決められていることがある
- 階下への音の影響に配慮が必要になる
賃貸住宅では、自分で修理せず、まず管理会社や大家さんに連絡してください。分譲マンションでも、工事の前には、管理規約を確認し、管理会社に相談しましょう。
業者に依頼する判断基準と修理費用・保証の確認ポイント

沈みや広範囲のきしみ、経年劣化がある場合は専門家へ
次のような場合は、自分で直そうとせず、専門家に相談しましょう。
- 床が沈む、ふかふかする、傾きがある
- 広い範囲で鳴る、または、音が年々ひどくなっている
- カビ臭さ、シミ、床材の浮きや変色がある
- 築年数が古く、経年劣化が考えられる
- シロアリが疑われる(羽アリを見た、木部を叩くと空洞のような音がするなど)
原因が分からないまま、表面だけを補修しても、根本的な解決にならないこともあります。
修理費用の見積もりで施工範囲・工事内容・交換箇所を確認
床のきしみの修理は、原因や範囲によって、工事の内容も費用も大きく変わります。部分的な補修で済むこともあれば、床材を張り替える、下地や根太を補強・交換するといった、大がかりな工事になることもあります。
見積もりでは、次の点を確認しましょう。
- 原因の調査結果と、そう判断した根拠の説明
- 施工する範囲と、工事の内容(補修か、張り替えか)
- 交換や補強が必要な部材と、その費用
- 追加費用が発生する条件
可能であれば、複数の業者から見積もりを取り、内容を比べてみましょう。
新築は保証期間を確認し、売主や施工業者に点検を依頼
新築住宅では、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により、構造上重要な部分と雨水の侵入を防ぐ部分について、引き渡しから10年間の保証が義務づけられています。一方、床鳴りのような内装の不具合は、会社独自のアフターサービスの対象となることが一般的で、2年程度が目安とされることが多いようです。ただし、保証の範囲や期間は、会社や契約内容によって異なります。
新築で床がきしむ場合は、保証書やアフターサービスの内容を確認し、早めに売主や施工業者に連絡して、点検を依頼しましょう。木材の乾燥収縮による不具合は、住み始めてから時間が経って出てくることもあるため、定期点検の機会も活用してください。連絡の際は、音の出る場所や時期を、記録して伝えるとスムーズです。
インスペクションや専門店への相談で建物全体の状態を判断
床のきしみの原因が、床だけの問題とは限りません。建物全体の状態が気になるときは、ホームインスペクション(住宅診断)を利用する方法もあります。建築士などの専門家が、床下や外壁、屋根裏などを調べ、劣化や不具合の有無を診断してくれます。
また、床の修理を専門とする業者や、リフォーム会社に相談する際も、調査の内容や、診断の根拠を、わかりやすく説明してくれるところを選ぶと安心です。
まとめ
フローリングがきしむ原因は、湿度による木材の伸縮のような心配のいらないものから、根太や下地の緩み、床下の湿気、シロアリの被害といった、点検が必要なものまでさまざまです。
季節によって出たり消えたりする軽い音であれば、湿度を調整しながら様子を見てもよいでしょう。一方で、床が沈む、ふかふかする、範囲が広がっている、カビ臭さやシミがあるといった場合は、放置せず、早めに専門家に相談してください。
新築なら、保証書やアフターサービスの内容を確認し、売主や施工業者に点検を依頼しましょう。マンションや賃貸住宅では、工事の前に、管理会社や管理規約を確認することも大切です。早めの確認と相談が、住まいを長く快適に保つことにつながります。

